基本情報
- 業種:フィットネス業(複数店舗を運営する企業。当社の依頼主は、この会社の買収を進めていた買い手企業)
- 規模:複数店舗を展開するフィットネス事業者(買収対象会社)
- 経理体制(着手前):会計処理には税理士が関与していたものの、その数値の正確性や簿外債務の有無が、外部から独立して検証されたことはない状態。
- きっかけ:買い手企業からの依頼。買収の方向性はほぼ固まっており、最終判断を前に、独立した立場での財務リスクの確認を求められたこと。
着手前の状況
依頼を受けた時点で、買収の方向性そのものはほぼ固まっていました。価格に直結する数字上のリスクは、買い手側ですでに織り込み済み。残っていた不安は、別のところにありました。表に出ていない簿外の債務がないか。そして、そもそも対象会社の会計数値は、どの程度正しいものとして信じてよいのか——。
会計処理には税理士が関与していましたが、その数字が外部から独立して検証されたことはありません。買収という後戻りのきかない判断を下す前に、客観的な目でリスクを洗い出しておきたい。それが依頼の中身でした。しかも、与えられた時間は2週間から1ヶ月ほど。報告資料の作成まで含めて、限られた期間で形にする必要がありました。
取り組んだこと
限られた時間で成果を出すために、最初に決めたのは「どこを重点的に見るか」でした。全体に目を通したうえで、買い手にとって本当に脅威になりうる論点——簿外債務の有無と、会計数値の信頼性——に的を絞り、そこを深く確認していく方針を取りました。
帳簿や資料を確認するだけでなく、リスクが潜んでいそうな領域に対してはヒアリングを重ね、数字の裏にある実態を一つずつ確かめていきました。その結果、是正や注意が必要ないくつかの論点が浮かび上がりました。資産として計上されていた項目のなかに、実態に照らすと過大と見られるもの。会員ビジネス特有の前受金の処理に、見直しが必要な点。店舗の賃貸借に絡んで、簿外のリスクとして認識しておくべき事項。こうした論点を、買い手がそのまま判断に使える形に整理しました。
これらを報告書にまとめ、説明会の場で買い手に直接お伝えするところまでを、単身で、約1ヶ月のうちにやり切りました。
結果
- 買い手が最も知りたかった「簿外債務はないか」という問いに対して、独立した立場からの確認結果を示しました。
- 会計数値の信頼性を、過大計上の可能性がある資産・前受金の処理・店舗賃貸借に絡むリスクといった具体的な論点に落とし込んで可視化しました。
- 価格や最終判断に使える材料を、報告書と説明会という形で、ご依頼から約1ヶ月という短期間で提供しました。
現在
本件は、報告書の納品と説明会の実施をもって、支援を完了しています。買収の最終判断は買い手自身が下すものであり、当社の役割は、その判断に必要な財務リスクの材料を、限られた時間のなかで客観的にそろえることにありました。
短期かつ単独での財務デューデリジェンスという案件でしたが、「リスクのありかを素早く見極める」力は、平時の社外CFOとして経営に伴走するうえでも、確かな土台になっています。
