基本情報
- 業種:ブランディングカンパニー(Shopify・BASE等のEC上で、複数のD2Cブランドを企画・運営)
- 規模:支援開始時点で役員2名・社員1名(設立直後の小規模体制)。売上高は支援期間中に約55%増
- 経理体制(着手前):経理体制が構築されているとは言い難い状態。複数ブランド・複数ECプラットフォームにまたがる請求書や証憑の管理方法が確立されておらず、税務・労務に必要な書類の選別すら整理されていませんでした。
- きっかけ:紹介。経理を担っていた社員の退職が決まり、経理まわり全般について相談を受けたこと。
着手前の状況
この会社は、複数のD2CブランドをECプラットフォーム上で展開する、設立まもないブランディングカンパニーです。当社が関与を始めたのは、役員2名・社員1名という、事業立ち上げ直後のごく小さな体制のときでした。
経理を担っていた社員の退職が決まり、経理まわりを一から相談したい——それが最初の依頼でした。当時は、複数のブランドと複数のECプラットフォームにまたがって、請求書や証憑をどう受け取り、どう残し、どう計上するかのルールが定まっていません。税務や労務に必要な書類を選り分けることすら、整理されていない状態でした。
さらにこの会社は、将来的な売却(M&A)を視野に入れていました。そのときに必要になる財務まわりの整備や、DD(デューデリジェンス)への対応も見据えておく必要があります。ゼロに近いところから、しかし将来の高い要求水準まで見据えて——という出発点でした。
取り組んだこと
最初に着手したのは、高度な仕組みの導入ではなく、いちばん基礎になる「請求書と証憑の流れ」を整えることでした。受け取ってから保管し、計上するまでのフローを確立し、税務・労務に必要な書類を選別・整理するところから始めています。
その土台の上に、月次の記帳代行、総勘定元帳や試算表の整備、税理士との連携フローを積み上げました。あわせて、資金繰りの実績・予測表と、銀行口座別の日次残高を管理する仕組みを構築。日本政策金融公庫からの借入や保証付融資に向けた必要書類の整備・申込みも支援し、事業拡大期の資金を支えました。
将来の売却を見据えた部分では、総勘定元帳・補助元帳・決算書などの資料一式を整え、外部の法律事務所による法務DDへの資料開示やインタビュー対応までサポートしました。加えて、勘定科目別の確認事項リストを使った決算前チェックの型化、給与・社会保険料計算の仕組み化と給与台帳の整備、顧問契約の締結や定時株主総会の運営サポートまで、管理部門の骨格を一通り形にしています。
そして第2期。管理体制の再整備が必要になった局面で改めて依頼を受け、請求書処理や記帳代行を中心に、事業再開後の運用を支えています。
結果
- 売上高が支援期間中に約55%増となる拡大期を、経理と資金の面から支えました。
- 日本政策金融公庫からの資金調達を2件実行し、事業拡大期の資金を確保しました。
- 経理体制がほぼ無い状態から、請求書管理・記帳・決算確認・給与計算までの実務フローを一から整備しました。
- 増収と体制構築を同時に進める局面でも、資金繰り管理と資金調達によって、資金面の継続性を確保しました。
- 売却を見据えた財務DD・法務DDに一通り対応し、資料整備の水準を引き上げました。
- 決算確認プロセスや給与計算を型化し、属人化を解消しました。
現在
第1期は、経理体制の整備が一巡し、後任の正社員を採用するめどが立った段階で、円満に支援を終えました。仕組みが回る状態を社内に残して、一度離れたのです。
その後、管理体制の再整備が必要になった局面で、改めて声をかけていただき、現在も継続して支援しています。一度卒業した相手から再び任せていただけたこと——それは、仕組みを社内に残す運用定着型の働き方が、信頼という形で返ってきた結果だと考えています。
