• 業種:インテリア雑貨・家具の店舗販売+EC販売(自社EC・モール出店)
  • 規模:年商4〜6億円規模/従業員30名程度
  • 経理体制:着手前は、社内に経理担当もシステムもない状態(会計入力は税理士が対応)
  • きっかけ:第2創業フェーズからの関与(社外CFO・財務コンサルタントとして)

関与を始めた時点で、社内に経理を担う人も、会計の仕組みもありませんでした。会計入力は税理士が外部で行い、社内では購買担当者が請求書や必要書類を管理している状態。ただ、その管理には抜けや不足も多く、本来その担当者が望む役割でもありませんでした。店舗とECを展開する成長企業でありながら、数字を社内で管理する土台が、まだ存在していませんでした。

最初に着手したのは、システム導入ではなく、事業の理解と論点の洗い出しでした。税理士からの業務引き継ぎと、社長秘書からのビジネスモデルの説明を通じて、この会社に必要な会計・財務の論点を一つずつ整理していきました。引き継ぎは平易ではなく、現場の協力を得るために早朝に時間をもらうなど、一歩ずつ信頼を築きながら進めました。

そのうえで、経理・財務体制をゼロから構築。BtoCのビジネスモデルのため、数千件規模の売掛金の管理方法の設計や買掛金・未払金台帳の整備、経費精算のワークフロー設計、カード経費の管理まで、経理の基盤を一気通貫で立ち上げました。

会計システムは、段階を踏んで移行しました。まず、税理士しか触れていなかった会計環境を社内で運用できる状態に整え、そのうえでクラウド会計(freee)へ全面移行。freeeの債務管理機能を活かして総合振込データの作成などを仕組み化し、財務データの作成負担も軽くしました。

事業が複数部門・複数拠点に広がるなかでは、本体と事業部からなる3部門の管理会計を設計し、東京・大阪・福岡の拠点をまたぐ月次レポートを3年以上にわたり継続提供。月次推移財務報告書や部門別損益計算書を毎月作成し、経営判断を支えました。多店舗展開に伴う原状回復義務を資産除去債務として認識・計上するなど、成長に伴う会計論点にも対応しています。

経理担当者もシステムもない状態から、クラウド会計・部門別管理会計・複数拠点の月次レポーティングが回る財務体制を構築しました。経営陣が部門・拠点ごとの数字を毎月把握でき、意思決定を財務面から支える土台ができました。

成長が思うように伸びない局面では、財務の余裕が薄くなる場面もありましたが、追加の借入に頼らず、保有資産の見直しや予算の再設計によって資金面をやりくりするなど、経営の意向に沿った財務運営を支えました。

後半では、会社本体のM&A(企業売却)において、財務担当として最終局面まで伴走。経営陣が必ずしも財務に明るくないなかで、買い手によるデューデリジェンス対応の多くを担い、決算整理や帳票整備を通じて、買い手側へのスムーズな引き継ぎを実現しました。

創業期の体制づくりから、成長と停滞、そして経営者が選んだ出口(M&A)まで——企業のライフサイクルの全フェーズを、経営者と同じ目線で、悩みながら共に歩んだ案件です。どの局面で、経営者にどんな課題と迷いが生じるか。それを実地で体感できたことは、私が社外CFOとして経営に伴走するうえでの、確かな土台になっています。本件は円満に支援を完了しています。